はじめに

 2003年からサーキット走行をずいぶん重ねてきましたが、 走っていると

サーキットのコースによって・・・
ラップタイムがどれくらい違うんだろう?

ということが気になってきました。 鈴鹿・セントラル・岡山国際(旧TI)、 それぞれ走ってきて、 それぞれ目標をクリアしたり、 目標クリア目前まで来たりしているのですが、 どうも明確に

鈴鹿●●分なら岡山国際(旧TI)が▲▲分程度

というのが見えないのです。 岡山国際(旧TI)やセントラルの苦しみに比べて、 えらく簡単(?)に鈴鹿の目標値がクリアできたので、 「もしかしたら、鈴鹿の目標値って他の二つに比べて低いのでは???」 という疑問がふつふつわいてきました。 それに、 次のステップの目標値の目処が立たない・・・

という事で、 ここで各サーキットでのLAPタイム差を考察してみたいと思います。

考え方

 よく耳にするのが、 「Aサーキットの20秒落ちがBサーキットのタイム」 というお話。 確かにこれで大体の概算は出せるのでしょうが・・・ たとえばAサーキット2分ならばBサーキット1分40秒という式が成り立つとして、 極端な話Aサーキットを1分で走ったらBサーキットは40秒・・・ というお話にはならないと思います。 そこまでAサーキットでのタイムが縮まれば、 当然Bサーキットとのタイム差は小さくなるはず・・・

だからといって、 色んな種類の車のLAPタイムからその差分の曲線を割り出して計算していく・・・ なんて面倒くさいことはしたくないので、 ここは単純に

サーキットでの同条件のレースにおける、 ラップタイムの比率

を計算し、 それを比例係数として直線的に考えることにします。
まぁ、 これでも一般ユーザーの車が出すタイムの範疇なら大丈夫 (且つ、前述の単純な引き算よりも正確なはず)・・・ と信じて話を進めます。

「岡山国際(旧TI)」対「鈴鹿」

 まずは岡山国際(旧TI)サーキットと鈴鹿サーキットのタイム差を考えます。 この二つのサーキットはどちらも国際レーシングコースという格式で、 どちらもF1開催経験のあるサーキット、比較するに十分な情報があります。 という事で、キーを

「F1」「GT500」「GT300」

として考えます。 それらのコースレコードからタイムの比率を計算したところ、 下のような結果になりました。

岡山国際(旧TI)サーキットのタイムを1とした場合の比率

鈴鹿 岡山国際
(旧TI)
記事
F1 1.286 1.000 車種が合わないので・・・ 鈴鹿は昨年のベストラップ、 岡山国際(旧TI)は1994年
GT500 1.385 1.000 鈴鹿はJGTC合同テスト(2004/3/12,13)、 岡山国際(旧TI)はJGTC第1戦のデータ(2004/4/3)
※FR限定で計算
GT300 1.399 1.000 鈴鹿はJGTC合同テスト(2004/3/12,13)、 岡山国際(旧TI)はJGTC第1戦のデータ(2004/4/3)
※FR限定で計算

このデータを元にして、 鈴鹿と岡山国際(旧TI)のラップタイムを計算してみます・・・

岡山国際(旧TI)サーキット基準の比率

鈴鹿 岡山国際(旧TI)
F1の比率 (2分34.287秒) 2分00.000秒
GT500 (2分46.235秒) 2分00.000秒
GT300 (2分47.934秒) 2分00.000秒

岡山国際(旧TI)サーキット目標タイムである2分を基準に、
鈴鹿サーキットのタイムを計算。
(括弧内のタイムが計算値)

・・・何でこんなにばらつきが・・・ F1のタイム比率による値がどうにもおかしい・・・ と思いましたが、 よくよく考えるとF1のタイムって

一方は昨年データ、一方は10年前のデータ。しかも車種が違う。

という事で、 当然車も進化すればレギュレーションも大きく違う。 当たり前といえば当たり前のような気がします。
逆にJGTCのデータって、 その差1ヶ月程度のもので、 どちらもコース改修後の値です。 一方がテスト走行というのが気になりますが、 どちらもウェイトハンディなど入っていない「素」の状態ですし、 こちらの方は信用できそうです。 そこで、 JGTCのデータ(GT500とGT300)の平均比率を計算し、 それで改めてラップタイムを計算してみると、 下記のようになりました。

岡山国際(旧TI)サーキット基準比率からの計算値

鈴鹿 岡山国際
(旧TI)
記事
JGTC比率 1.393 1.000 GT500とGT300の比率平均
タイム1 (2分47.160秒) 2分00.000秒 岡山国際(旧TI)での目標値2分を基準に計算
タイム2 (2分49.113秒) 2分01.402秒 岡山国際(旧TI)での自己ベストを基準に計算

(括弧内のタイムが計算値)

岡山国際と鈴鹿のタイムグラフ
この項目での検討結果をグラフ化するとこのようになります。

・・・計算に当たって、 ついでに自己ベストを持ち出して検算してみましたが、 ここまで値がそろってくるとは正直驚きです。 結果的に、 立て続けに走行 (2004/8/30時点) した鈴鹿の方が少々早めという結果が出てきました。

ということで、 以上より鈴鹿と岡山国際(旧TI)のラップタイム差については

鈴鹿:岡山国際(旧TI) = 1.393:1.000

と考えることにします。

「岡山国際(旧TI)」対「セントラル」

 さて、 次はセントラルサーキットですが・・・ これが問題。 正直セントラルサーキットのデータってあんまり無いのです。 JGTCも開催されていませんし・・・ と言っても仕方ないのでセントラルサーキットのホームページを探っていると

全日本GT(ALL JAPAN GT) 1996/11/16

のデータが・・・ これだと車種も合わせられなければ、 年代も大違い・・・ 岡山国際(旧TI)と鈴鹿でのF1問題が頭をよぎりますが、 このときのタイムを使って比率を計算してみます。


セントラル 岡山国際(旧TI)
GT500 0.913 1.000
GT300 0.919 1.000

岡山国際(旧TI)サーキットのタイムを1とした場合の比率です。
とりあえず、ベストラップで比率を出しました。

比率を見るとどうにも怪しい気がしますが、 一応具体的な値を代入して計算してみます。


セントラル 岡山国際
(旧TI)
記事
JGTC(?)
比率
0.911 1.000 GT500とGT300の比率平均値
タイム1 (1分49.343秒) 2分00.000秒 岡山国際(旧TI)での目標値2分を基準
タイム2 1分40.000秒 (1分49.746秒) セントラルの目標値1分40秒を基準
タイム2 (1分50.621秒) 2分01.402秒 岡山国際(旧TI)の自己ベストを基準

(括弧内のタイムが計算値)

・・・やはり年月には勝てないようで・・・ 比率のデータとしては使い物にならないみたいです。 でも、 ここまでやって結局 「岡山国際(旧TI)サーキットとセントラルサーキットのラップタイム差は20秒」 なんて冒頭の差し引き計算するのも悔しい限り。

ここまできて、 ちょっと暗礁に乗り上げたのですが、 ふと横に目をやると車雑誌が・・・ そう、 この手の雑誌には走行会などのラップタイムが書かれている。 しかも雑誌によったらランキングも載っていて、 車種とかドライバーやチューニングしたショップも見えてくる。そこで

FRで同じ車種・同じドライバー・同じショップの
車をピックアップし、その平均比率を出して計算
(「個人」ではなく、ショップデモカー等限定)

してみることにしました。 個人のデータを排除することで、 ドライバーの経験差やコンディションの差といった 不確定要素をなくしてしまおうという考えです。 その結果は下の通りになりました。


セントラル 岡山国際
(旧TI)
記事
比率 0.843 1.000 「片っ端」と言いながら、 サンプルは5個。
タイム1 (1分41.160秒) 2分00.000秒 岡山国際(旧TI)での目標値2分を基準
タイム2 1分40.000秒 (1分58.624秒) セントラルの目標値1分40秒を基準
タイム3 (1分42.342秒) 2分01.402秒 岡山国際(旧TI)の自己ベストを基準
タイム4 1分41.842秒 (2分00.809秒) セントラルの自己ベスト(マフラー交換前)を基準

(括弧内のタイムが計算値)

岡山国際とセントラルのタイムグラフ
で、鈴鹿:岡山国際(旧TI)と同様に比率をグラフ化してみました。

残念ながら、 条件のそろうサンプル数が少なかったのですが・・・ 概ねいい感じの値のような気がします。 定説の「-20秒」に近い感じですし、 自分のラップタイムを考えても大きく外れてないようです。

ということで、 以上からセントラルと岡山国際(旧TI)のラップタイム差については

セントラル:岡山国際(旧TI) = 0.843:1.000

と考えることにします。

(2004/8/29 補足)
岡山国際(旧TI)とセントラルの比率についてのみ、 個別で補足しておきます。
美祢サーキットの考察追加に伴って見直し中・・・ 前述のデータは岡山国際(旧TI)サーキット改修前後を 考慮していないサンプルということに気づきました。 という事で、 2004年2月以降の同じ車・同じドライバーによるショップデモカーのタイムを サンプリングしてみました。 サンプル数は3・・・ 非常に少ないもので、 しかも車の形式もFRにこだわらずの状態。 ところが計算してみると・・・ まったく同じ「0.843」という結果が出てきました。

ということで、 岡山国際(旧TI)対セントラルの考察については、 比率によるタイムの再計算 (四捨五入桁数による数値差) による修正のみとしています。
(・・・そうなると、岡山国際(旧TI)サーキットの路面改修って・・・ 考慮不要?)

「岡山国際(旧TI)」対「MINE」

 さて、 今度はMINEサーキットです。 規模的には岡山国際(旧TI)サーキットとそれほど変わらないものですが、 ホームストレートが900mと圧倒的に長いところで多少差が出るかもしれません。 ここ2年は両サーキットで共通した全日本レベルのレースはなかなか無いのですが、 2002年までさかのぼればJGTCが出てきます。 よって、 これを基準に計算してみると、 下記のような結果が出てきました。


MINE 岡山国際(旧TI)
GT500 0.957 1.000
GT300 0.954 1.000

岡山国際(旧TI)サーキットのタイムを1とした場合の比率です。
ちなみにGT500は大半スープラのタイムがベース(2002年度)。

これを元に、 MINEと岡山国際(旧TI)のラップタイムを比較してみると、 下のようになります。


MINE 岡山国際(旧TI) 記事
比率 0.956 1.000 GT500とGT300の平均値です。
タイム1 (1分54.720秒) 2分00.000秒 岡山国際(旧TI)での目標値2分を基準
タイム2 (1分56.060秒) 2分01.402秒 岡山国際(旧TI)の自己ベスト(マフラー,LSD,スタビ未装着)を基準
タイム3 1分58.733秒 (2分04.240秒) MINEの自己ベスト(マフラー,LSD,スタビ装着)を基準

(括弧内のタイムが計算値)

一方は既に数度走行済みのサーキット(岡山国際(旧TI))。 もう一方は初走行のサーキット(MINE)。 これが経験の差なのかもしれませんが、 MINEの走行は非常にふがいない結果に終わったという結果が出てしまいました。


 で、当時(2004年)はこの後路面改修の結果の盛り込みなどを検討したのですが・・・ どうもそれだと結果が甘すぎ。 経験値で倍以上差のあるサーキットのタイムが余り変わらないという点で、 疑問がふつふつと・・・ 最終的に、 2005年10月に富士スピードウェイを走行した結果から 「岡山国際サーキットの路面改修は考慮不要!」 というところが判明しました。

以上から、MINEと岡山国際(旧TI)のラップタイム差については

MINE:岡山国際(旧TI) = 0.956:1.000

と考えることにします。

鈴鹿:岡山国際(旧TI):セントラル:MINE

 今までの計算で、 岡山国際(旧TI)サーキットを1とした場合の その他のサーキット のタイム比率が出せました。 まとめると、次の通りです。

鈴鹿:岡山国際(旧TI):セントラル:MINE =
1.393:1.000:0.843:0.956

これを使って目標を再考します。 サーキットのほうで明確に 「ビギナークラス・ハイクラス」 と区分していて、 且つ自分に最も都合の良くなる (・・・だって既にクリアしていますから・・・) 基準タイムとして

鈴鹿サーキットを2分50秒

に決めて、 他のサーキットにおける目標タイムを算出します。


鈴鹿 岡山国際(旧TI) セントラル MINE
目標タイム 2分50.000秒 (2分02.039秒) (1分42.879秒) (1分56.669秒)

括弧で囲ったタイムは計算値です。

・・・甘すぎ?都合よすぎ?? でも、 一応サーキット側で 「ビギナーはここまで」 と明確に示しているタイムですから、 決して的外れじゃないと思うんですけど・・・

いや、決して自分がMINE以外目標クリアしたことになるから
選んだわけでは・・・(^_^;;

まぁ、 これだけだとなんなので、 ついでに各サーキットのベストラップを前述の比率を使って比較してみます。


鈴鹿 岡山国際(旧TI) セントラル MINE
鈴鹿基準 2分48.588秒 (2分01.025秒) (1分42.024秒) (1分55.700秒)
岡山基準 (2分49.113秒) 2分01.402秒 (1分42.342秒) (1分56.060秒)
セントラル基準 (2分45.977秒) (1分59.151秒) 1分40.444秒 (1分53.908秒)
MINE基準 (2分53.066秒) (2分04.240秒) (1分44.734秒) 1分58.773秒

括弧で囲ったタイムは計算値です。
なお、セントラルとMINEは
「マフラー」「LSD」「スタビ」
導入後の値になります。

計算が正しいとするならば、 各種アイテム導入に当たって走り回ったセントラルが一番 「早い」 という結果になってます。 後は経験順に、岡山国際(旧TI)とMINE が、 鈴鹿・セントラルと比べると遅いという結果がでました。
ここまできたら、 ついでに岡山国際(旧TI)が2分と、 セントラルが1分40秒の目標値を計算してみます。


鈴鹿 岡山国際(旧TI) セントラル MINE
岡山基準 (2分47.160秒) 2分00.000秒 (1分41.160秒) (1分54.720秒)
セントラル基準 (2分45.243秒) (1分58.624秒) 1分40.000秒 (1分53.405秒)

括弧で囲ったタイムは計算値です。

・・・正直驚いたのが 「セントラル1分40秒で走れば、鈴鹿は2分45秒???」。 ちょっと計算が合わない? それともいい感じ?? でも考えてみれば、 鈴鹿サーキットって距離だけならセントラルサーキットの倍の距離ですし・・・ そういうものなんだと思うことにします。

今後に向けて

 ちなみに、 今までサーキット走っている間に目標といっていた

鈴鹿:2分50秒、岡山国際(旧TI):2分、セントラル:1分40秒

というのは、自分自身に課した「縛り」なわけです。

  • きっとサーキットを走っていると、 やがてはエンジンや足周り (サスペンションは交換しちゃってますけど) に手を入れたくなる。
  • でも、 いきなりそういったところに手を入れれば、 確かにタイムは早くなるけど 車を操るという面では技術不足になってしまうかも・・・

という勝手な思い込みから、

「せめて最低ラインをどっかに設定して、
エンジンやタイヤ・足周りを云々言うのはその後にしよう」

というのがそもそもの考えだったんです。

で、 実は正直我慢できなくなっている自分がいたりする訳で・・・ とりあえず鈴鹿が目標クリアしたんだからと大目に見ることにしちゃったんですが、 いじった後の目標の問題もあって、 うだうだ考えたということなんですね。

そして、次のステップとして考えていた目標は

鈴鹿:2分45秒(マフラー交換レベル) -> 2分40秒(ブーストアップ以上)

です。 これから岡山国際(旧TI)とセントラル,MINE の目標値を計算すると・・・


岡山国際(旧TI) セントラル MINE
鈴鹿をを2分45秒 1分58.449秒 1分39.853秒 1分53.238秒
鈴鹿を2分40秒 1分54.860秒 1分36.827秒 1分49.806秒

ということで、 いじくった程度に応じて上記タイムを目標に走っていきたいと思います。

でも、 こうやって計算してみると、 鈴鹿サーキットのビギナークラス・ハイクラスの区分けが一つの基準とするならば、 改めて

岡山国際(旧TI):1分50秒,セントラル:1分30秒ってむちゃくちゃ早い...
(計算前は、これを最終目標と考えてました。身の程知らずですね。)
更に言えば、岡山国際(旧TI):1分40秒弱で走る車(人)って...早すぎ。

と思っちゃいますね。

ついでに・・・岡山国際(旧TI):1分50秒、セントラル:1分30秒の計算結果


鈴鹿 岡山国際(旧TI) セントラル MINE
岡山基準 (2分33.230秒) 1分50.000秒 (1分32.730秒) (1分45.160秒)
セントラル基準 (2分28.719秒) (1分46.762秒) 1分30.000秒 (1分42.064秒)

各サーキットを走っている方々・・・いかがでしょうか?

ちなみに本題と関係ない話ですが、 いわゆるPS2なんかにある 「ドライブシミュレーター(回りくどい?要はグランツー○スモ)」 で遊ぶとき、 私が最初にいじくるのは 「タイヤ&足回り」 だったりします。 更に言えば、 何はなくとも『超』ハイグリップタイヤ・・・ でも、「現実」の話だったら・・・ どうしたもんでしょうね・・・

ガイド
コースによるタイム差の考察